ディンプルキーが回らない!自分での修理方法やNG行為を紹介
鍵が抜けなくなる事態は意外と頻繁にあるものです。本コラムでは、その原因と対処法を紹介します。
また2次被害を防ぐためにも、NG行為についても解説いたします。
目次
ディンプルキーが回らない緊急事態を自分で解決する方法について
鍵の表面に凹み加工があるディンプルキーは、多くの住宅や金庫などに採用されるタイプの鍵です。機械を使わない複製・外部からの不正な開錠が難しいため、防犯性や安全性の高さが評価されています。
一方で、ディンプルキーが回らなくなった時、その解決が難しいのも事実。そこでこちらのページでは、ディンプルキーが回らない時の原因や解決方法を、鍵の専門家が解説します。また、自分では解決できない場合の対処法・原因が分からない場合のベストな処置についても、あわせてご紹介します。
【原因別】ディンプルキーが回らない時の解決方法
それでは早速、ディンプルキーが回らない時の対処法を原因ごとにご紹介します。
原因① 差し込む鍵を間違えている
ディンプルキーが回せない原因として、差し込む鍵を取り違えている場合があります。鍵山がギザギザとしているディスクシリンダーキー・ロータリーディスクシリンダーキー・ピンシリンダーキーと比べると、形状の違いを見分けにくいため、鍵の間違いが発生しやすいようです。
掃除機のノズルをかざすように鍵穴へあてて、内部のゴミを除去します。掃除機以外にも、精密機械の掃除に用いられるエアダスターでも問題ありません。掃除機が持ち出せない環境では、エアダスターで代用しましょう。
解決方法:メーカーや鍵番号などを確認する
純正キーであれば、鍵のメーカーは鍵の持ち手部分に記載されています。また、錠前には鍵のメーカーが刻印されているので、それぞれに違いがないか確認しましょう。 また、同じメーカーの鍵でも、鍵が錠前と対応していなければ回らないのは当然のこと。購入時の取扱説明書やセキュリティIDなどを確認し、鍵番号を調べれば、対応している鍵か否かを確認することもできます。
さらに、今後の鍵の取り間違いを避けるために、キーホルダーを取り付けておくのも効果的。間違った鍵を差し込むことのないよう、一目で鍵を見分けられると安心です。
原因② 鍵のディンプル(凹み部分)に汚れが溜まっている
ディンプルキーには、鍵山にギザギザとした刻み加工があるのではなく、表面に凹み加工が施されています。「ディンプル」と呼ばれる大小さまざまな凹みがあることで、鍵違い数を増やし、防犯性の高さにつながっているのです。
しかし、この凹み部分に砂やホコリなどが溜まっていると、ディンプルキーが回らない原因になります。
解決方法:乾いた布や歯ブラシで鍵を掃除する
凹み部分のゴミを取り除くために、布や歯ブラシで鍵の汚れをかき出しましょう。表や裏だけでなく、タイプによってはディンプルキーの側面にも凹み加工があるため、そこまで丁寧に掃除するのがコツです。
また、鍵や鍵穴に水分が付着すると、表面や内部が錆び付く原因になります。そのため、鍵は濡らさないようにしましょう。もしも水を付けてしまったら、すぐに乾いた布やティッシュペーパーで拭き取るのがオススメです。
解決方法:鍵の表面に鉛筆の黒鉛を付ける
鍵のディンプル部分に付着した汚れを拭き取ったら、表面に潤滑スプレーを塗布すると、ディンプルキーの滑りが良くなります。また、潤滑スプレーが無い場合には、鉛筆の成分である黒鉛でも代用することが可能です。
やり方は、鍵の表面や溝などに、まんべんなく鉛筆の黒鉛を塗り付けるだけ。おおく付着し過ぎた黒鉛は、衣類などに触れると汚してしまう恐れがあるので、ティッシュなどで軽く拭き取っておくと安心です。
たったこれだけで、回しにくかったディンプルキーが元通りになる場合があります。ディスクシリンダーキーなど他の鍵にも応用できるので、裏ワザとして是非この方法を押さえておきましょう。
原因③ 鍵が欠けたり曲がったりしている
ディンプルキーが回らない原因として、先端が欠けたり、少しでも曲がったりしていることが考えられます。この場合には、鍵穴が正しい鍵だと認識できないため、鍵を差し込んでも上手く回せないと考えられます。
性能が高い錠前であればあるほど、欠けたり曲がったりしている鍵を受け付けてくれません。ディンプルキーは基本的な性能に優れている商品が多いため、少しの破損でも開かないことがあります。
そこで、一度スペアキーや元鍵などの純正キーを差し込んでみましょう。これが問題なく使用できれば、今まで使っていた合鍵に回らない原因があると分かります。この場合、これからは純正キーを使うようにするか、合鍵をもう一度作り直すことでトラブルが解決します。
解決方法:新しい鍵やスペアキーを使う
欠けたり曲がったりした鍵は使用せず、新しい鍵やスペアキーを使うことが唯一の解決策です。もしも手元にスペアキーが無ければ、鍵屋やメーカーに依頼して、新しい鍵を作成してもらう必要があります。
出張鍵屋に相談すれば、スピーディーにスタッフが鍵作成を実施してくれるので、即日鍵を受け取ることも可能です。一方で、鍵メーカーが特許を取得しているような一部の鍵は、作成しようとしても断られてしまうケースがあります。
メーカーに相談すれば、純正キーを作成してもらうことができます。しかし、セキュリティIDやセキュリティカードがないと鍵が作れなかったり、依頼から完成品の到着まで数週間~数か月かかったりするケースもあります。
原因④ 鍵穴に砂やホコリが溜まっている
鍵穴に砂やホコリが溜まっていることも、ディンプルキーが回らない原因になります。砂やホコリによって鍵が奥まで差し込めなかったり、操作を妨げたりすることがあります。
解決方法:鍵穴内部のゴミを掃除機やエアダスターで取り除く
掃除機のノズルを鍵穴に近付けてスイッチを入れ、内部のゴミを吸い出すことが最も簡単な解決方法です。また、パソコンなど精密機器に用いるエアダスターは、ホームセンターでも購入できるので、掃除機が使えない場合にはこちらで代用することが可能です。
なお、鍵穴の内部のゴミを掻き出そうと、針金や爪楊枝を差し込むのはかえって危険です。ゴミを奥に押し込んだり、鍵穴の内側の部品を傷つけたりして、トラブルをより深刻なものにする恐れがありますので、このような行為は避けましょう。
解決方法:鍵専用の潤滑スプレーを使う
鍵穴内部のゴミを取り除いたら、鍵専用の潤滑スプレーを鍵穴内部に吹きかけると、ディンプルキーの抜き差しがスムーズになるのでオススメです。
なお、潤滑スプレーの中には鍵に使えない商品もあるので注意が必要です。鍵に使えない潤滑スプレーをかけてしまうと、鍵穴の中でホコリやゴミが固まり、ディンプルキーが回しにくいトラブルを助長するリスクがあります。
原因⑤ 鍵穴の奥まで差し込めていない
ディンプルキーが回らない原因として、そもそも鍵を奥まできちんと差し込めていない可能性があります。
解決方法:きちんと奥まで鍵を差し込む
中途半端な深さに差し込むだけでは、鍵を回すことはできません。手応えだけで判断せずに、目視しながら奥まできちんとディンプルキーを差し込むだけで、普段通りに回せることがあります。
なお、滑りが悪く鍵が奥まで差し込みにくい場合があります。このような時には、前述したように、潤滑スプレーや鉛筆の黒鉛を使って、滑りを改善してから差し込みましょう。
解決方法:鍵穴内部のゴミを掃除機やエアダスターで取り除く
鍵穴の中にある砂やホコリなどのゴミが妨げとなり、鍵が奥まで差し込めなくなっている場合もあります。このような時には、ゴミを掃除機やエアダスターで取り除いて対処しましょう。
なお、掃除機やエアダスターを使っても鍵穴に残っているゴミは、シリンダーを分解して洗浄しないと除去できない可能性があります。このような作業には特殊な知識や機材を要するため、鍵屋の専門スタッフに相談するのがオススメです。
原因⑥ 錠前が劣化や故障している
錠前が劣化や故障している場合にも、ディンプルキーが回せなくなることがあります。
また、錠前メーカーの団体である日本ロック工業会は「錠の耐用年数についてのガイドライン」の中で、電気錠を除いた一般的な鍵の耐用年数を10年と定めています。
裏を返せば、10年以上使っている鍵は、劣化・故障が発生しても不自然ではないのです。
解決方法:新しい錠前に交換する
錠前全体に劣化・故障が見られるときには、新しい商品に取り換えるのがオススメです。特に、10年以上前から使っている鍵は、防犯面でも最新商品に劣っていることがあるので、鍵の交換がメーカーからも推奨されています。
なお、レスキューインフォでも鍵の交換を実施しています。鍵のメーカーや商品の特徴・予算など、さまざまな条件から、ベストな鍵のご提案・設置までワンストップで承ります。
ディンプルキーが回らない原因が不明な場合の対処法
ここまで、ディンプルキーが回らない時の対処法について原因別にご紹介しました。
では、鍵が回らない原因が分からない場合には、どのように対処すればよいでしょうか?
玄関の場合は一時的に他の出入り口を使う
玄関のディンプルキーが回らずに困っている場合には、他の場所の鍵を開けて出入りする手段が考えられます。窓や勝手口などが経路として想定されるでしょう。なお、雨どいや手すりをよじ登ってベランダに侵入するのは、転落してケガするリスクや、通報される危険性もあるので絶対にやめましょう。
また、玄関の鍵の調子が悪い時には、いざという事態に備えて、他の出入り口の鍵を携帯しておくと安心です。
ディンプルキーをピッキングで開けることは困難
鍵穴に細い金具を挿入し、内部のピンを操作して、あたかも正しい鍵を差し込んだかのようにして開錠するのが「ピッキング」という手法です。
ピッキングは、ディスクシリンダーキー・ピンシリンダーキーなどギザギザした刻み加工が施された鍵に対しては有効。一方で、表面に凸凹した加工があるディンプルキーは、ピッキングで開けることは困難です。むやみに鍵穴へ工具を差し込んでも、鍵を開けることは不可能でしょう。
出張鍵屋ならディンプルキーの開錠や修理交換を相談できる
ディンプルキーが回せず、その原因がハッキリしないときには、レスキューインフォへご相談ください。出張鍵屋は鍵の専門家ですが、多くの経験や専門知識を踏まえて、トラブルの原因を究明してくれます。
また、ディンプルキーを紛失した時の鍵開け・修理や交換作業も多数実施しているので、要望を伝えるだけで作業を任せられる安心感があります。
ディンプルキーが回らないトラブルを悪化させる行為とは?
非常に厄介なディンプルキーが回らないトラブル。このトラブルを自力で解決しようとして、さらに問題を悪化させてしまうケースもあります。
ここでは、鍵が回らない時にトラブルを悪化させるNG行為を3つご紹介します。
無理やりディンプルキーを回す
ディンプルキーが硬い時に、力ずくで鍵を回そうとするのは非常に危険です。鍵が折れてしまったり、鍵穴の中を傷付けてしまったりするリスクが伴うためです。
もしも、少しでも鍵の硬さを感じた時には、無理に鍵を回すのは止めておきましょう。そして、鍵穴をクリーニングしたり潤滑スプレーを差したりするか、出張鍵屋など専門家にメンテナンスを任せるのがオススメです。
鍵用ではない潤滑スプレーを使う
潤滑スプレーの中でも、成分がパウダー状になっているタイプや速乾性の高いタイプは、鍵穴に使用するのに適しています。一方で、それ以外のタイプは鍵穴の中に残ってしまったり、ホコリなどと結びついて固まったりする恐れがあります。
潤滑スプレーの説明書やパッケージには、どんなものに使用できるかが記載されています。必ずこれらの説明を確認し、鍵に適しているかどうかをチェックしてから吹きかけるようにしましょう。
鍵穴に爪楊枝やヘアピンなどを差し込む
鍵穴のゴミを取り除いたり、ピッキングしたりするために、爪楊枝やヘアピンなど細長いものを差し込む行為も大変危険です。
特にディンプルキーの鍵穴は、数ミリ単位の鍵の凹みの違いを読み取る部分。非常に繊細なため、小さな傷が付いただけでも致命傷となります。ディンプルキーの鍵穴内にゴミがあるときには、掃除機やエアダスターを使用するにとどめておき、自分で解決するのが難しかったら鍵屋のスタッフに相談しましょう。
回らないディンプルキーのメンテナンスに挑戦
最後に、回らないディンプルキーのメンテナンスの様子をご紹介します。
なお、メンテナンスに使用したのは、都内某所の雑居ビルにある古くなったディンプルキーです。数年前から調子が悪く、先週ついに回らなくなってしまった鍵でした。
①鍵穴のゴミを掃除機やエアダスターで取り除く
まず、鍵穴の中に溜まっているゴミを、掃除機やエアダスターで取り除いていきます。 この鍵穴の中にゴミがあるかどうか、目視では確認できませんでした。しかし、この鍵はホコリの多い環境に設置されていたため、鍵穴の中にはゴミが多いと推測できます。また、手元には掃除機がなかったので、鍵穴の奥を狙ってエアダスターを吹きかけます。
エアダスターを軽く吹きかけるだけで、細かなチリが飛ぶ様子を確認することができました。再びディンプルキーを差し込むと、先ほどよりはスムーズに挿入できましたが、依然として回らない状態のままでした。
②鍵の汚れを落として鉛筆の黒鉛を付ける
次に、鍵の表面に付着した汚れを、乾いた布で取り除いていきます。
鍵は一見それほど汚れていませんでしたが、軽く拭くだけで布が黒くなるほど汚れていました。鍵に傷を付けないように気を付けながら、小さな溝もていねいに拭いていきます。
ディンプルキーの汚れを落とした後は、鉛筆で鍵の表面に黒鉛を付けていきます。軽く黒鉛を付けた後に鍵を差し込むと、これまで回らなかった鍵が回るようになりました。しかし依然として鍵に硬さが残ったので、潤滑スプレーを吹きかけて仕上げていきます。
③鍵穴に鍵専用の潤滑スプレーを使う
ディンプルキーに鉛筆の黒鉛を付けるだけで、鍵は無事に回せるようになりましたが、仕上げに潤滑スプレーを使用します。
鍵専用の潤滑スプレーを選び、容器を軽く振ってから、鍵穴に1秒程度吹きかけます。たったこれだけで、黒鉛を鍵に塗った時よりも更に鍵が回しやすくなり、引っかかる感触もなくなりました。